親不知を抜く

長年連れ添ってきた親不知をついに抜くことになった。特に痛みなどはないが、「将来的には抜いたほうがよい」との歯科医の助言を受けたため。しかし根っこが深く、我々の通っているエンゼル歯科では抜けないとのこと。大きな総合病院で抜くことになった。
午後休をとり、夕方、病院に向かう。医師は若い人で、席に着くとすぐに抜歯を開始する。詳細はかなりグロテスクなのでここでは述べないが、彼の手にする道具と、あごに伝わってくる感触から、大体何をやっているかが想像できる。恐ろしい限りである。今まで生きてきて麻酔というものにこれほど感謝したことはない。ありがとう、華岡青洲。歯を分割し、大部分が取り出されたものの、割れた根っこが一部残ったらしい。「ほとんど抜けてますからねー、あと1割。」と言いつつ、さらに押したり引いたり削ったりを繰り返す。どうしても根っこがどこにあるかわからないらしい。10分くらい格闘したあと、ようやく摘出に成功。歯的には1割であるが、この夜の腫れの3割はこれによるものであろう。傷口を縫合して抜歯終了。
ところでこの先生、ちょっと変わった人であった。鼻歌を歌ったり、独り言を言ったりすることが多い。最後に、「出血しないように切開を狭く抑えましたんで、手こずりました」と隊員に言った後、「出血か、腫れか、どっちを取るかなんだよなー」とつぶやいていた。そんなこと患者の前で言わなくても・・・。その夜、著しい腫れと痛みに隊員が苦しんだことは言うまでもない。